野犬の遠吠えからメロトロンとフルートが入り、
妖怪談でも始まるのかというもったいぶった妖しげなイントロ。

4thアルバム「Aqualung」(71年)収録。

全員が一団となった息をつかせぬ演奏と、歌に絡むベースとギターのフレーズが印象的。 

以下、歌詞を和訳した。

*****訳*****
A1
Who would be a poor man, a beggar man, a thief
If he had a rich man in his hand.
And who would steal the candy from a laughing baby's mouth
If he could take it from the money man.
誰が貧乏人や 乞食 泥棒になるものか
もし 金づるがいるならな
誰が笑顔の赤ん坊の口からキャンディーを取るものか
もし 金満家から取れるのならな

B1
Cross-eyed Mary goes jumping in again.
She signs no contract
But she always plays the game.

Dines in Hampstead village
On expense accounted gruel
And the jack-knife barber
Drops her off at school.
斜視のマリーがまた行った
面倒な契約なんてしない
いつもそうやってるんだ
夕食はハンプステッド・ヴィレッジ
おごりの金だが薄粥さ
そして 中絶手術の後 学校へ送り返された

A2
Laughing in the playground
Gets no kicks from little boys
Would rather make it with a letching grey.
Or maybe her attention is drawn by Aqualung
Who watches through the railings as they play.
笑顔で公園にいるが
少年達と遊ぶものか
好色親父を相手にした方が良いのさ

あるいは アクアラングに色目を使うのかもよ
彼はフェンスごしに子供たちを見ているのさ

B2
Cross-eyed Mary finds it hard to get along.
She's a poor man's rich girl
And she'll do it for a song.
She's a rich man stealer
But her favour's good and strong
She's the Robin Hood of Highgate
Helps the poor man get along.
斜視のマリーは上手くいかないと分かるだろう
彼女は貧乏な男には値の張る女だからさ
でも彼女のことだ 安く相手をしてあげるだろうよ

彼女は金持ちを相手にしている
でも 飢えた精強な男が好み
彼女はハイゲートのロビンフッド
貧乏な男の相手をするのさ

*****終*****


歌詞は、社会からはみ出た人々を歌ったものと思われる。

・少女マリーの人物像
B2に出てくるHighgateは高級住宅街Hampstead Villageの一角であり、
「彼女はHighgateのロビンフッド、貧乏な男の相手をする。」ということなので、
少女の生活環境は良いと思われる。
つまり、自分の意思、興味で行動(売春)をしているのであって、経済的苦境からではない。

容貌については、やぶにらみ=斜視、ということで、普通ではない。
良い家庭に生まれたが、斜視だったため両親に冷たい仕打ちを受けたか、
あるいは、周囲に溶け込めなかったか。
どちらにしろ「社会から少しばかりはみ出た人物」であろう。
(斜視の人には非常に失礼だが、あくまで詩を理解する上でのことをご了承されたい。)

名前の「Mary」は「Virgin Mary(聖母マリア)」を連想させているのか。
でも、ここで歌われるマリーはその容貌も行動も「美しい慈愛に満ちたMary」ではない。


A1、2は、単語そのままの意味をとって問題は無いだろう。
最初の「a poor man, a beggar man, a thief」は、英語圏の言葉遊びで用いられるフレーズのようだ。
英人にとっては、懐かしい単語の響きからこの曲を聞き始めることになるのかな。
英Wiki:Tinker, Tailor参照)。

B1は、「game=売春」に関しての内容。
後半部分はよく分からない。
高級住宅街のHampstead Villageでとる夕食は「gruel」で、しかも「おごり」なのだ。
「gruel」は「薄粥、懲罰的な食事」の意味がある。
続く「jack-knife barber」も分からない。
ジャックナイフの医者(昔、床屋は医者も兼ねていた)なので外科医だろう。
中絶手術のために入院し、相手の金で薄粥を食べていた?
高級住宅街なので相手は金持ちだったのだろうか。
そして、術後は学校に戻される。

A2では、マリーは同年代の男の子には目を向けず、大人の男に目を向けている。
乞食の「アクアラング」も登場。
以降は、マリーが金持ちでは無く、アクアラングのような底辺の男を相手にすることを示唆する内容。
(アクアラングについては、アクアラングの記事で。)

B2では、マリーは義賊のロビン・フッドよろしく底辺の男達を相手にするようだが、
「but her favour's good and strong」の意味が分からない。
なぜ貧乏人、乞食の方が「good and strong」なのか。
性的な意味と捉え、欲求が強い、という意か。
マリーは底辺の男にとっての性的な聖母マリア?

Iron maidenがカバーしている。


Jethro Tullのアルバムについての記事

音楽(洋楽) ブログランキングへ