ザ・バンドといえば「The Weght」「I Shall Be Released」「The Night They Drove Old Dixie Down」などが有名だが、これもカッコイイ。
自分が初めて2ndアルバムを聴いたとき、一番印象に残った曲だ。

2ndアルバム「The Band」(69年)収録。

ザ・バンドの歌詞は物語になっているものが多いため読むと面白いが、
曖昧な内容が多く、理解するのは少しやっかいだ。
この曲の歌詞も物語仕立てになっている。

以下、歌詞を和訳した。

*****始*****
A1
Corn in the fields
Listen to the rice when the wind blows 'cross the water.
King harvest has surely come.
畑のトウモロコシよ
水辺から風が吹いた時の稲のざわめきを聞いてみろ
きっと大いなる収穫がやってきたのさ

B1
I work for the union,
'Cause she's so good to me,
And I'm bound to come out on top.
That's where she said I should be.
俺は組合のために働く
俺にはとても良くしてくれるからな
組合の頭(かしら)になることになってるんだ
俺はそうなるべきだと組合の奴が言ったのさ

C1
I will hear ev'ry word the boss may say,
For he's the one who hands me down my pay.
Looks like this time I'm gonna get to stay,
I'm a union man, now, all the way.
上役が言ったことは聞き漏らさないつもり
そいつが俺に給料をくれるからな
今回はここに落ち着きそうだ
今や俺は組合員さ 色々あったけど 

A2
The smell of the leaves
From the magnolia trees in the meadow.
King harvest has surely come.
葉っぱの匂いが
牧草地のマグノリアの木からただよってくる
きっと大いなる収穫がやってきたのさ

B2
Dry summer, then comes fall,
Which I depend on most of all.
Hey, rainmaker, can't you hear my call?
Please let these crops grow tall.
日照りの夏が過ぎて秋が来た
俺にとって一番重要な季節さ
おい 雨乞い師よ 俺の声が聞こえないのか?
お願いだ こいつらを高く育ててくれよ

C2
Long enough I've been up on skid row
And it's plain to see, i've nothin to show.
I'm glad to pay those union dues,
Just don't judge me by my shoes.
ドヤ街で暮らしてだいぶ経つから
当然 俺には人様に見せられるものなんて無い
組合費は喜んで支払うつもりだから
靴だけで俺を値踏みするのはやめてくれ

A3
Scarecrow and a yellow moon,
And pretty soon a carnival on the edge of town.
King harvest has surely come.
案山子と黄色い月
町はずれでのお祭りはもうすぐさ
きっと大いなる収穫がやってきたのさ

B3
Last year, this time, wasn't no joke,
My whole barn went up in smoke.
My horse jethro, well he went mad
And I can't remember things bein' so bad.
去年のこの時期は冗談じゃなかった
俺の納屋は全焼して煙になるわ
馬のジェスロったら気が狂うわ
こんな酷いことは他に思い出せないな

C3
Then there comes a man with a paper and a pen
Tellin' us our hard times are about to end.
And then, if they don't give us what we like
He said "men, that's when you gotta go on strike."
そんな折 1人の男が紙とペンを持ってやって来て言うには
つらい日々を終わらせる時が来たのだ
奴らが俺達の要求を飲まないなら
「諸君 ストライキにでるまでさ」だとさ

A1繰り返し
*****終*****

歌詞の内容は、落ちぶれた農夫(以下、農夫)が組合に加入する、というもの。
ただ、組合員になった後、農夫が幸せになったかどうかは分からない。
聞き手に任せる、ということかな。
曲調からすると、結局は以前と変わらず、という印象だが。
平凡で貧乏な一般人が自然や組合などの外部環境に翻弄されつつも、
自分の存在感を確認しようと抗う姿が描かれている。

歌詞の順番は時間の流れと一致しない。
歌詞は、大きく3つのパート(1パート=AからC)に分けることができ、
最後のパートが「過去」、最初の2パートが「現在」となっている。

それぞれのパートの内容だが、A1がよく分からない。
1行目「Corn」は、2行目「listen~」の主語(あるいは呼びかけ)か、それとも2行目と関係の無い単なる単語か。
2行目の意味がはっきりと掴めないこともあって、どちらかは判断できない。
ここでは直感により、呼びかけ、として捉えた。
一応理由としては、関係の無い単なる単語、つまり、1行目を2行目と完全に切り離す場合、
1行目は単純に農村風景を表し、2行目の主語は「you」となる。
別におかしいことは無いのだが、A2やA3では他者「you」は入ってこない。
なんとなくだが、これらのパートは、「一人称の農夫が頭の中に描いている、あるいは思っている」ことのように感じるのだ。
自分の畑を見て作物が育つ様を頭に描き、ふと現実に戻って「King harvest has surely come」と自分に強く言い聞かせているような気がする。

2行目は意味が分からない。
特別な表現なのかと思って調べてみたけど、完全にお手上げ。
農家の古い諺なのかな。
ここでの解釈はこんな感じだ。
風が吹いて稲がザワザワと音を立てるのは、稲がしっかりと育っている事を表現している。
つまり、「トウモロコシよ、よく育っているあの稲みたいになれ」と。
あるいは、「水のほうから吹いてくる風」はトウモロコシの収穫の時期を告げる自然現象で、
その風がやってきたので、トウモロコシよもっと育ってくれよ、という感じだ。

3行目で現在完了形で「収穫が来た」と言っており、
2行目で「あの稲みたいになれ」と未来のことを表現するのは、時制を考えるとおかしい。
が、3行目は農夫の強い願望と捉えた。

「the water」は近辺の大きな沼地か河だろう。

この時代(英wikiによれば第二次大戦前)に米南部で稲作が行われていたのか疑問に思ったが、20世紀初頭から存在したようだ。
ウェブで検索すれば、入植した日本人が活躍した等の解説がある。

また、トウモロコシはイネ科であることや、特に英国等では「rice=穀物」と解釈するようなので、
ひょっとしたら「rice=稲」では無いのかも。
まさかの「トウモロコシ」か。
色々と検索しても出てこないのでこの線は非常に薄いと思うが、当時の表現だと…分からない。

B1、C1では、農夫の人となりが分かる。
自分にとって都合が良いから組合に入り、
組の上にいける(出世できる)と言われて信じていることや、
給料をくれるから上役の言うことを聞く、とあり、
この農夫に強い信念があるとは自分には思えない、平々凡々な男だ。
おそらく出世はできないだろうに。
B1の「she」は、組合をさす代名詞だろう。

A2のマグノリアはモクレンのことか。

B2、C2では、農夫が現在も幸福でない状況下にあることが描かれている。
夏に雨が降らなかったので悲壮感が漂い、
唯一、組合費をちゃんと払うことだけが農夫の誇りとなっている。
やっぱり農夫に幸福は来ないのだろうか、と思わせる部分。

A3のお祭りは、秋の収穫祭のことか。
黄色いお月様と月明かりの案山子。
日本も米国も、昔の農村風景は似ているのかな。

B3以降は、組合員になる契機となった悲惨な過去が明かされる。
C3の「they=奴ら」は、農夫ら小作人を雇う地主のことか。
最後、直接話法で締めくくられるのが印象的。

アルバムの日本語盤には対訳がついているけど、
英詞が間違っているし、曲を聴かずに訳したのではないかと思われる部分も。


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